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そして、恋が始まる。(5)です。

グダグダに更新。


今回は藤堂さん。むしろ師弟。

セシルさんと藤堂さんは「スザクくん」呼びの最強タッグだと信じてみた(え)。


このシリーズのセシルさんは若干過保護です(当社比40%+)。

藤堂さんの口調が分からなくて、録画してあった『騎士』の回を見直したりした(笑)。



ところで、本編で殿下はいつになったら、「スザク」と呼び捨てしてくれるんだろうか!(ドキドキ)




では、どうぞ(話は進んでないような気がする回ですが)。

 












恋をしたいと言ったのは僕だけれど、絶対に何か違うんだ。



思いながら隣の人を見れば、「どうしたんだい?」なんて、いつも通りの笑顔を向けてくる。
憎らしいくらいに眩しくて、それだけで不整脈一歩手前の症状に陥ってしまう。
初めて会った日からもう嫌になるくらい見ているはずなのに、一向に慣れることがない。
ルルーシュの顔だって最初は人形みたいに綺麗だと思ったのに、三日も経つころには見飽きてしまったのに。

「それで、次の約束はしなくてもいいのかな?」

そう言って、堪えきれない風に笑う・・・そんな横顔でさえ眩暈がするくらいで。
一瞬、言われた言葉を素通りした意識がゆっくりと戻ってくる。
「え?」
次・・・次って、明日?
毎夕のお茶のことだろうか。
軽く首を傾げている間に、車が下宿代わりの大学の門下で停まった。
遠方でドアが開いて、細身の女性の影が飛び出してくる。
セシルさんだ。
チラッと時計を見ると、もう日付が変わろうかという時間だった。
怒ってるかな・・・こんなに遅くなったのは初めてだし・・・。
電話があってから、シャワーをさせてもらって着替えていたら、すっかり遅くなってしまったんだけど・・・なんとなく、それは言わない方がいいような気がする。

「えっと、また明日・・・っ」

そう言ってドアから飛び降りた。
そのまま駆け出そうとしたら、不意に手首を掴まれて・・・頭だけ引き戻された車の中で頬に口付けられていた。

「・・・っ、で、殿下・・・?」

間近にある唇を指先で押し返して後ずさった拍子に、ガンっといい音を立てて頭を打つ。
「いだっ」
おまけに舌まで噛む始末だ。
殿下は鷹揚に笑うばかりで。

「私のシンデレラは慌てん坊だね」

そんな風に言って、すっかり忘れていた鞄を手渡してくれた。


「後は何だったかな・・・そうだ。ロイドとセシル嬢に叱られて、夢で私に会うんだったね」


食事をして、次の約束をして・・・、
・・・完全にからかわれてる。

一瞬、うるさくなった心臓を叩きつけるように乱暴にドアを閉めると、曇りガラスの向こうで殿下が苦笑を浮かべた。
それから柔らかく目元だけで笑って、「また後で」とゆっくり口を動かすのが分かった。


ほんのそれだけ。
なのに、またキュウッと音がしそうなほど胸の奥が甘く締め付けられる。


嬉しい、だなんて。
それこそどうかしているんだけれど・・・。











そして、恋が始まる。(5)














疑うような・・・それでいて心配そうな目が二つ。
呆れた・・・というよりも疲れきったような目が二つ。

それから何よりも。
明らかに怒気を含んだ目が二つ。

順にセシルさんにロイドさん・・・最後のそれは・・・ここにいるはずのない、藤堂さんのもので・・・。
ローテーブルを挟んで真正面に向かい合ったその人の眉間には、いつも以上にクッキリとした皺ができている。
おおよそ一月ぶりに会う師匠は、ソファに座っているというのに不自然なほど姿勢がいい。
視界の端でだれた様に背もたれに沈んでいるロイドとは対照的に過ぎた。
慣れは怖い。
僕だって最近ではすっかり“ロイドさん風”になってしまっているのだから。
それを師匠の前で実践するほど命知らずじゃないけど。
「今日ブリタニアへ?前もって教えていただいていればよかったのに」
沈黙が嫌で、分かっていて『空気読め』な発言をしてみる。
だけど、案の定、師匠は小さく息を吐いただけで、それには答えなかった。

「いつも、こんなに帰りが遅いのか?」

百の嫌味と諫言から選りすぐったような痛烈な一打だ。
もっとも師匠にそんなつもりはないのだろうけど。
「いえ、今日は特別です」
そう、だから本当に間が悪かった。
まるで選んだかのように今日来ることもないのに。
内心で舌を出しながら、表用の笑顔を浮かべる。
まぁ、子供の頃から僕を知っている師匠にそれが通じるわけもないんだけど。
案の定、もっと怖い顔で一睨みされて、居心地悪く姿勢をちょっと正した。

「シュナイゼル殿下に夜会へお誘いいただいたものですから」

楽しかったかと言われれば、ちょっと考えてしまうけれど。
そもそもの経緯からのあれやこれを思い出して、思わず顔が緩んだり熱くなったりで。
パッと視線を逸らすと、ヒュウッと音を立てて気温が下がったような気がした。
見れば、藤堂とセシルから青白い冷気が立っている。
その隣でロイドだけは相変わらず読めない表情で「やれやれ」と首を横に振った。
それから少し顔を寄せてきて、「君、顔に出てるよ~」と教えてくれる。
焦って顔を手で隠すけれど、時既に遅く。
「スザクくん」
怖くて顔は見れないけど、多分、きっと、修羅のような顔をしているのだろう。
経験から声だけで分かってしまう自分が悲しい。
それでも条件反射で顔を上げれば、不気味なほど静かに、そして悲壮な顔で師匠が言った。

「明日から毎日、放課後は稽古をつけに来よう」

だから寄り道せずに帰ってきなさい、と言う師匠に、セシルさんが素早く・・・どこから出したのか、僕の時間割まで渡してしまう。
そのセシルさんの目には涙まで浮かんでいて・・・何かこう、有無を言わせない迫力が共通してあった。
そして、これもやっぱり反射で、師匠の言うことには無条件に頷きかけた・・・んだけど。

「・・・・・・嫌、です」

つい、本音を口にしてしまって、急いでそれを言い換えた。
「というか、無理です」
だって、放課後はシュナイゼル殿下のところへ行かなければいけない。
一日だって顔を出さなければ、あの人は忙しい人だから、僕のことなんて忘れてしまうかもしれないし・・・それに。

「明日もシュナイゼル殿下と約束したんです」

別れ際に、確かにまた明日と言ったつもりだ。
そりゃ・・・殿下の返事までは聞いていないけど。
でも、笑っていたから。
また、いつものように明日・・・そう思って・・・。

「・・・では明後日からだ」
渋々という風に譲歩してくれた師匠がすっかり温くなった茶に口を付けるタイミングを見計らって、「無理です」と言う。
そうして、口を開けないうちに捲くし立てるように一気に話した。

「放課後は毎日ダメなんです。第二皇子殿下は次期皇帝と言われる方ですし、そうなると、今後の日本との友好にも直接関係してくると思うんです。だから・・・」

ガチャン、
と荒い音がして、口を閉じる。
皿の上に乱暴に置かれたティーカップからは奇跡的に一滴も零れてはいなかったけれど、ビリビリと空気が震えた。
ズル、とロイドさんの眼鏡がずり落ちる。
僕はと言えば、首の後ろが痛い。
急にビシッと背筋を伸ばしたせいで、変に捻ったのかもしれなかった。
・・・思えば、今日は変な態勢ばかりで、妙なケガばかりしている。
今度は首が攣ったらどうしてくれるんだと、頬を膨らませてみるけれど、もちろん効果はない。
それどころか。
「君は学生だ。本文は勉学であって政治ではないはず。そもそも政治というならば、ユーフェミア皇女殿下との親交を深めなさい」
なんて、もっともなことを言われてしまう。
まるで父さんみたいに、だけど、父さんよりももっと厳しく。
「ユフィとは学校で毎日会ってます!生徒会も一緒ですし・・・ルルーシュやナナリーとだって・・・」
別にシュナイゼル殿下とばかり遊んでいるわけではない。
ただ殿下には、自分から会いに行かなければ会えないからそうするのだ。
だけど、そんな僕に苛立ったように・・・それはもうすごく珍しいことだけど、声を荒げて立ち上がった。

「いい加減に自分の立場を自覚しなさい!」

今までずっと、誰にも言われないように避けてきた言葉を正面からぶつけられる。
分かっていても、受け入れてしまえば、諦めなければいけないそのことを。

僕は日本国の王子で、ユフィの騎士で・・・きっと、このまま行けば婚約するんだろうけれど。
だけど、それは僕が選んだ道じゃない。
何一つ。

なのに。


「だって、シュナイゼル殿下が好きなんだから仕方ないじゃないかっ」

やっと、自分で見つけた初恋なのに。


「スザクくん・・・君は・・・自分が何を言っているのか分かっているのか」
驚愕、というよりは、愕然として呟いた師匠の手が握り締められた拳が震えていた。
あぁ、きっとこれを言ったら殴られるんだろうなぁ・・・と分かっていて、


「僕はブリタニアに帰化します」


そう告げた。
父に宛てた手紙は、今頃太平洋の上を飛んでいる頃で。
明日の朝には日本に着くだろう。

だから、遅かれ早かれ、こうなる運命だったとしても。

飛んできた拳は中々に痛かったけれど。












***
ちょっと外側から引き裂かれていくシュナスザ風味。
藤堂さんは枢木父より保護者かもしれない。。

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