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シュナ→スザ←ルルの人魚姫パロディ。
もちろん、ギャグ。

精神的にルルスザルルなルルスザなので、カテゴリはルルスザで更新します。



本編並みに(痛いくらいに)ルルがスザクを大好きな人魚ですが、

シリアスとは程遠くなるような。。

ルルーシュ:人魚
スザク:王子
シュナイゼル:隣国の王女もとい皇子(笑)









人間の王子に恋をした人魚姫は、恋に破れて泡と消えてしまいました。



物語では語られていない人魚たちの後日談。

本当はこの物語、こんな余談があるのです・・・。







 

人魚姫の後日談。(1)









はぁ・・・と、今宵何度目かになる溜め息をついたルルーシュに、ナナリーが心配げに小さな尾を揺らした。

「お兄様・・・?どうかなさったのですか??」

そっと伸ばされた手を握り、「いや」と否定を返しながらも上の空だ。
もっとも仰いでも空は見えない。
ここは深い海の底なのだから。
その事実が、またルルーシュの溜め息を増やした。

「・・・なぁ、ナナリー」
「はい」

「人間を人魚にするにはどうすればいい?」

やっと悩みを打ち明けてもらえると目を輝かせたナナリーは、思わず「はい?」と答えてしまう。
いつも冷静な兄にあるまじき問いだった。
(人間を人魚にだなんて・・・)
そんなことを考える人魚なんて、この広い海を探してもルルーシュくらいのものだろう。
いや、あるいはその逆ならば、そう考えて、ナナリーは息を呑んだ。

「お兄様、まさか・・・!」

瞠目する妹に、察しのいい兄は慌ててそれを否定する。
「ち、違うぞ!ナナリー!俺は決してあんなやつ・・・っ」
あんな、ふわふわ頭のくりくり目になんか!と口走って、あ゛と視線を明後日の方向に投げた。
頭はいいくせに妙に抜けている。
ナナリーは少し寂しそうに微笑んで、「そうですか、お兄様が恋を・・・」と零した。
「本当に違うんだ・・・ナナリー・・・」
今更何を、という話だが、尚も足掻くルルーシュに、止めを刺すようにその肩を叩く。
「いえ、安心しました。お兄様ったら、そういうところまでお母様に似ていらっしゃいますのね」と。

そう、この兄妹の母こそが人魚姫と地上の話題を攫ったその人・・・もとい人魚、マリアンヌ。

若き日のブリタニア皇帝に求愛され、人の形を借りて地上に上がった唯一の人魚である。
泡になる代わりに人の足を失った彼女は、この水底の宮殿で二人を生んだ後、命を落としてしまったのだが・・・。
兄ルルーシュにとっては悲劇としか言いようのないそれは、しかしナナリーにしてみればロマンチックな御伽噺に思えた。
母は悔いてはいなかったし、二人をこれ以上ないと思えるほど愛していたからだ。

「それで・・・お兄様の恋のお相手はいったいどなたなのですか?」
期待に輝く目を向けられて、ルルーシュの顔がわずかに赤らむ。


「それが・・・」




あれは満月の夜だった。


水面に映る光に惹かれて、ふらふらと浮上していった時だった。
お気に入りの入り江は柔らかい月の光に照らされて、いつものようにさざ波が砂を浚っていた。
・・・ただ違ったのは、そこには先客がいたということ。
波打ち際にぐったりと横になっている人影。
初めこそ離れた場所から様子を窺っていたルルーシュだったが、あまりにも反応がないため、さすがに不安になって近づいてみたのだ。
というよりは・・・初めて見る人間への好奇心からだったのだが。
長い尾をひらめかして近づけば、男・・・というよりも少年であることに気が付いた。

「おい、おま・・・え・・・」

隣に身を寝かせて身体を仰向けた瞬間、言葉が途切れる。

(か・・・・・・)
かわいい、

そう思いかけて、「いや、落ち着け、俺」と首を横に振った。
相手は男。それも人間の。
何が「かわいい」だ、と舌打ちすると、少年が苦しそうな声を漏らした。
弱々しい手がきっちり締められた襟元を掻く。
慌てて緩めてやると、ホッとしたように息をついて項垂れてしまう。
(こいつには生存本能がないのか?)
「こらっ、こんなところで寝るなよ!」
潮に流されるぞ、とペチペチ頬を緩く叩けば、嫌がって首を左右に振った。
乱れた前髪が頬に張り付くその顔が、妙に艶を備えていて、ルルーシュはドクドクなり始める自分の心臓を押さえた。
寄せられた眉も、薄く開いた唇も・・・。
気付いた時には触れていたそれに、さすがに目が覚めたらしい少年に腕を掴まれた。

「・・・っ、き、み・・・だれ・・・?」

焦点のまだ定まっていない深緑の瞳はキラキラと輝いていて。
声は掠れて甘く・・・






「で、そのまま逃げ出したというわけか、この童貞坊やが」





ハンっと馬鹿にした笑いが割って入り、ルルーシュとナナリーは首をそちらへ向ける。
「あら?C.C.さん?」
入り口に人影はない。
あ、そうか。と視線をぐっと下に向ければ、黄緑の毛並みの猫が一匹、眠たげに毛繕いをしていた。
その大きな金色の瞳がくるっと回って、ルルーシュを仰ぐ。
痛いところを突かれたルルーシュが「うるさい!」と叫べば、許可してもいないのに椅子に乗ってピザに口をつけ始める。
というより、実際、この匂いに惹かれて来たのだろうが。
「第一だな」
お気に入りにチーズを引き伸ばしながら、猫は興味もなさそうに口を開いた。
「人魚のおまえが人間を押し倒して、それ以上どうこうできる話でもない」
もっとも、人間になれば別だが。
悪戯に付け加えたC.C.に、ナナリーがぽんっと手を打った。

「でしたらC.C.さん、お兄様を人間にすることはできないのかしら?」

名案でしょう?と無邪気に言う妹に、当のルルーシュが「ちょ、」と素っ頓狂な声を上げる。
「俺は絶対に嫌だからな!」
するなら、あいつを人魚にする!と断言すれば、呆れたように首を振られた。
「馬鹿か、貴様。そもそもどうやっておびき寄せる気だ?」
「人魚といえば歌だろう!」
この俺の美声で、とでも言いたげなルルーシュをC.C.はいっそ哀れむように見つめる。
セイレーンと呼ばれていた人魚の先祖たちならわけはない話だったろうが、あいにくルルーシュは人魚の中でも音痴で通っていたのだ。
これ以上婉曲的に言っても時間の無駄。
そう判断したC.C.はピザを放り出して、机の上に飛び乗った。

「私と契約しないか?ルルーシュ」

おい、机に乗るなよ、と言いかけたルルーシュが固まる。
が、一瞬後にはフンッと息巻いて睨むように視線を返した。
「そうやって母上も誑かしたのか」
何を隠そう、この猫。
その声と引き換えに、マリアンヌを人間にした張本人なのだ。
「誑かす?あれは本人たっての希望だ」
それを叶えてやったに過ぎない。
飄々と言えば、ルルーシュが案外上りやすい血をめぐらして椅子を跳ね飛ばして立ち上がった。
「ふざけるな!そのせいで母は・・・っ」
ブリタニア皇帝の側へ上がり、結局恋に破れて。
童話のように泡と消えられもせず。
しかし、憤然とするルルーシュを前に、C.C.は我が意を得たりとばかりに笑みを載せた。

「いいのか?」
尚更に、と嗤うその面は『灰色の魔女』と呼ばれるその所以だ。

「あの男・・・このままだとブリタニアに嫁ぐことになるが」
おまえの憎むあの帝国に。
その嘲笑にルルーシュの暗紫が大きく見開かれた。






「アレの名は枢木スザク・・・日本国の第一王子だ」






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